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その日の夜。柊は自室のベッドでくつろいでいると寮内に放送が入った。
「柊 凌駕。至急寮長室まで……」
その放送はもちろん柊の耳にも入っていたがもちろん彼はそれを聞くはずもなくそのまま部屋でくつろいでいた。
それからしばらくして、柊は寮を抜け出してやろうと部屋を出て廊下を歩いているとそこにひとりの男と出くわした。
「放送聞こえなかったか?」
「チッ……」
その相手は、寮長の如月 明人だった。
「邪魔だから避けてくんね?」
「てめー ふざけんのもいい加減しにしろよ?」
だが、その時の如月は普段より声のトーンは低く怒っているようであった。
「放送聞かなかった挙句、そこをどけ?てめーはいつそんなにえらい立場になった?
いいからついて来い。話がある」
如月が柊の元に近寄ってくる。もちろん彼はそれを阻止しようと手を振り払おうとするのだが、それは失敗に終わりその手を掴まれてしまい、そのまま柊は寮長室へと半ば無理やり連れ去られてしまった。
寮長室につくと、如月は今まで無理やり引っ張って連れて行っていた柊を何も気にすることなく力ずくで放り投げた。当然、柊はよろめき、腰をついてしまった。
「ったくいてーな!何しやがるっ!」
「何しやがるだあ?」
如月はそういった後、バカにするようにはっとひとつ笑って見せた。
「じゃ、お前は今日あの男子生徒に何やらかした?殴ったんだろ?必死に謝ってんのに自分のいいようにして殴り続けたんだろ?
あいつはストレス発散ってか……バカにしてくれるなぁ?」
「俺が何しようとどうでもいいだろうが」
「なら俺も何しようとどうでもいいな」
柊はひとつやられたような顔をしてそこから少しの間沈黙が起こる。
「俺はちゃんと忠告したはずだ。俺を怒らせるなと。だけどてめーはいとも簡単にこの俺を怒らせた。」
柊はだからなんだよというような半う的な表情をしている。が、その反面、如月はやけに優しい笑みを浮かべこういった。
「柊 凌駕君。いきなりですが……… 僕の下僕になっていただきます」
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