episode222 ゲームの代償

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「これは拓海ジュニアです」 愛しげに人形を横抱きにし 拓海は夢見るように言った。 「お腹の子はお兄様夫婦に差し上げると言ったものね。淋しいけどさ」 僕らがここまで 必死で守り抜いていた秘密を 「けど、最初からそういう約束だったんだから仕方ない」 「……約束?」 「ええ、お父様――貴恵さんと約束したんです。天宮の跡取りを作って差し上げるって」 子供みたいにあっけらかんと暴露して。 「大丈夫。僕はこの子で我慢するから」 静まり返る辺りに 子供をあやす拓海の異様な声だけが聞こえる。 「何言ってるの……?」 この期に及んで まだ救われる道があると思ったか。 性悪女王め 聞き返したりするもんだから――。 「何って――貴恵さん言ったでしょ?種なんか兄のでも弟のでも構わないって」 完璧に墓穴を掘る。 「あの……それは……つまり……」 つわりがぶり返したみたいだ。 吐き気を催すと両手で口元を抑えたまま 貴恵は慌てて部屋を飛び出していった。
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