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「おい、触るな」
「だって……」
緊張感に耐えられなくなった僕は
冷たく撥ねつけられながらも隣にいる薫の腕にすがる。
「第一おまえはあっちの席だろ?」
「なんでっ……?」
「なんでもうちで問題が起きりゃ、おまえが絡んでるだろうが」
こそこそやり合う僕らを尻目に
誰も口を開かない。
「天宮家ではそうでもここは九条家ですから」
そうだ。
いまや天宮家だけの問題ではなかった。
僕らは『すべては戯れ』ですむ限度を超えたのだ。
「答えましょうか?」
ついに痺れを切らせた征司が口を開いた。
「どうしてあなたが?」
取り乱す九条夫人をよそに
「先ほど聞かれたので」
淡々と答える。
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