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何を言うつもりか分からない。
ただあの人は僕に――己の手から逃げ出した僕に
復讐したいだけのような気もした。
「僕が説明します」
それを察して九条さんが口を割るが
「和樹です――あいつのせいです」
一足遅かった。
「和樹さん?」
「どうして彼が?」
ますます話が分からなくなった顔をして
九条のご両親はチラチラと僕を盗み見る。
「ほら、やっぱりおまえはあっちの席じゃないか」
「そんな……」
薫は冷たく言い放つと
僕の手を振り払い冷めた紅茶を口に運んだ。
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