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「その口を閉じろ。君が感情的になっているのはおそらく君の問題だ」
「何だって……?!」
「悪いことは言わない。君は口を閉じていろ――そのぐらいの理性はあるだろう?」
九条敬は場をわきまえた年上らしく
ことのほか静かにやり返した。
しかし天宮征司は
それで大人しく黙っているようなタマじゃない。
「理性を失くしているのはどっちだ?」
「何?」
「昨夜の事――俺の耳に入ってないとでも?」
「ああ……どうしよう薫お兄様」
「触るな。あっちの席行けって」
闘いの場は
今やベッドから公けのテーブルに移ったわけだ。
「上等な薔薇ほど棘を隠すのが上手いもんだな、お義兄様」
「あれは……」
「理性?笑わせるなよ、情夫が!」
「何だと……?」
そして決定打――。
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