135人が本棚に入れています
本棚に追加
「もうやめてちょうだい!こんな時にあなたたちは……!」
金切声でヒステリックに叫んだのは
今日までいつ何時も楚々としていた九条夫人だ。
「まったく分からん!なぜここで二人が揉めるんだ?」
妻に引っ張られるように
九条の当主も怒りのこもった唸り声を上げる。
だけど2人が睨み合いを続けている真相など
天地がひっくり返っても彼らには分かるまい。
たとえ連日僕の身体につけられた
調教の痕跡を――愛に満ちた傷跡を見たところで。
信じられるもんか。
「申し訳ありません。お父様、お母様――僕には先に片づけなければならない問題がありますので」
いつになく殺気立った声で
「来い、話をつけよう」
征司を促し九条さんは僕らに背を向けた。
「ちょ、ちょっと待って……!」
最初のコメントを投稿しよう!