episode222 ゲームの代償

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「あれは――拓海くんがそう、家に泊まりに来ていてた日の事です。彼はひどく酔っていて、お姉様もそうだった。みんなで夜通しドンチャン騒ぎを……ねえ薫お兄様?」 「ええっ……俺?ああ……だったかな」 出だしは好調だった。 九条のご両親もふんふんと首を縦に振って聞いている。 「みんなそのままリビングで眠ってしまったので――僕はお客さんの拓海くんだけお義兄様夫婦のベッドへ案内しました。それで、その後――お姉様が起きたの。お姉様はベロベロに酔っぱらって、そりゃもう娼婦みたいにやらしく前を肌蹴た格好で言いました。『うちのハンサムな旦那様はどこ?』って」 「和樹……!」 貴恵は普段貞淑な妻を装ってるもんだから 真っ赤になって僕を睨んだ。 だけどもう どうしょうもないだろう。 「だから僕冗談半分――『九条さんはもうベッドにいますよ』と。そしたらお姉様その、こんな風に言ったらいけないけれど――そりゃもうやる気満々の顔して部屋に入ったっきりドアに鍵を」 九条夫人は悲鳴まがいの声を上げた。 「それで……どうなったんだ?」 「それで……ええと、喘ぎ声が……」 こうして僕の作り話は 上手い具合い独り歩きを始めていた。 はずだった――。
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