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「そういう男なんですよ、この人は」
黙っていればいいものを――。
「お上品な顔してとんでもない破廉恥な事をなさる」
ここぞとばかり
征司が鼻で笑って口を挟むものだから。
「何だと!」
「違うか?――人前だろうがお構いなしだろ?」
「誰のせいでそんな事になったと思ってるんだ?」
「言ったはずだ。みんな和樹のせいだと」
またもや雲行きは怪しく――。
「和樹のせいにして逃げるな!」
「何だと……?」
「いつだっておまえはあの子のせいにして逃げる。いい加減自分の中に問題があると認めないか!」
「言わせておけば、この野郎……!」
突風が窓を突き破り
2人は靴も履かず庭に転がり出る。
「お兄様……九条さんっ……やめて……!」
今度こそ本当に
止めようもない本格的な嵐が訪れた。
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