135人が本棚に入れています
本棚に追加
何かが起こった。
良くないことだ――。
「何……だろう?」
椎名さんとふたり顔を見合わせ
僕らは耳を澄ませた。
しかし後は静かなものだった。
張りつめた空気の中
聞こえてきたのは
「それは……つまり……」
現状をまだうまく呑み込めていない
微かに震えた九条さんの声だけだった。
やがて静かに電話は切られ
九条さんが再び僕らの前に顔を出した。
心なしか青ざめて
視線を遠くにやったまま
「何?何があったの?」
しがみつく僕に言った。
「あいつ……拓海が首吊ったって――」
最初のコメントを投稿しよう!