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episode222 ゲームの代償
「驚きだね。敵地に乗り込んでくるなんて――あの貴公子もなかなかやるもんだ」
酔ってるわけじゃないと言うのに。
有無を言わせず炭酸水の入ったグラスを僕に手渡し
「それに――最初から最後まで見せてもらったけど、不覚にも熱くなったよ。下半身がね」
彼は憎らしい形だけの笑みを浮かべる。
「すみませんけど、あなたとは口を利かないってあの日から決めてるの」
僕はグラスだけ受け取ると
冷たくそっぽ向いて言った。
「何だい!まだ怒ってるのか?フェアリーナイトの夜のこと」
「まだって……あたりまえでしょう!」
忘れたとは言わせない。
あの日この男が勧めた奇妙な薬のせいで
九条さんは一時意識不明にまでなったんだ。
「何度も謝っただろ?」
「何も聞いてません」
「謝罪を受け付けなかったのは君だ!ただの一度も僕の電話に出ないんだから」
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