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「なにこれすごーい!!」  振り返って二人を見ると、シュウは馬鹿にしたような笑みを浮かべていて、クスシはニヤニヤしていた。 「それは蜃気楼だよ」 「俺が説明してやろう。蜃気楼は大気中の温度差が生む現象だ。まあつまり空気が歪むのさ。それによって俺達の住む島が上下逆で空に反映されるんだよ」 「ふーん」  適当に相槌を打つのが腹立たしいのか、クスシは思い切り顔をゆがめた。  それと同時にシュウが勢いよく窓に乗り出した。 「…ちょっとまって。これ、浮き島じゃないかも」 「!」 「あれ、浮き島っていうの?しんきろーじゃないの?」 「浮き島も蜃気楼も同じだ」  クスシも窓から身を乗り出し、浮き島を見ていた。 「・・・シュウ、俺は用意をしておく」 「わかった。コト、お前も来い」 「…?」  シュウに手を引っ張られ、僕は戸惑いながら付いていった。
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