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私は母方の祖父が大好きでした。祖父は背が高く、スマートで、学祭に祖母と来てくれたときには友人から格好良いおじいちゃんだといわれたこともあります。
しかしそんな祖父があるとき病に倒れ、入院することになりました。
一度は回復して自宅に戻ることもできたのですが、再び肺炎を起こして入院することになりました。
そんなある日の深夜、祖父が危篤だと祖母から電話が来ました。
今夜が山だと。
不安に思いながらも夜を明かしたのですが山は越えたようでその後連絡もなく安心していました。
しかし、朝食を終えて自分の部屋で出勤の準備をしていた時、いよいよ危ないと電話が来ました。
私は一心にいのりました。
「神様、仏様、ご先祖様、ひいおばあちゃん、どうかお願いします。おじいちゃんを連れて行かないでください。おばあちゃんと離ればなれにしないでください。お母さんは今日も仕事で、まだあっていないし、弟は東京から戻ってきていません。なんとか持ち直してください。私の寿命も捧げますから、どうかお願いします」
毎晩寝る前に祈ってきた時と同じように、いえ、それよりも強めに何度も祈りました。
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