75人が本棚に入れています
本棚に追加
「やこって可愛い名前だね」
恋するのはいつも突然だ。
あたしの名前を褒めてくれた彼にすぐに恋をしたんだ。
そして、友達としての中学時代を過ごして
たどり着いた先。
あたしはキミの彼女として高校の門をくぐっていた。
でも、キミがたまにする遠い目に気づいてたんだ。
キミが誰を思っているのかも気づいていた。
「あこさん元気?」
たまに聞いてくるその質問。
わかってる。
わかってるんだよ、好きだってことぐらい。
あたしを通してお姉ちゃんを見てるってわかってる。
なのにどうして、中学の卒業式から約三年も一緒にいてくれるの?
こんなに一緒にいるのにどうしてあたしを見てくれないの。
いつかはあたしを見てくれるって思ってた。
なのに、キミはいつまでもお姉ちゃんのことしかみてない。
さいしょは誰か他に好きな人がいるって思ってた。
でも、それがお姉ちゃんだったのは誤算だった。
「あこさん…」
偶然聞いた寝言。
あたしの心は悲鳴をあげて崩れ落ちた。
だから決めたの。
最初のコメントを投稿しよう!