1章 私、怪物です。

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怪物は人間の食物が食べられない。野菜、肉、魚。 できるだけ給食大好きな男子たちにあげちゃうけど、どうしても残るものは残る。 けれど食べないと普通の人間じゃなくなっちゃうので、必死に食べる。 舌の上にできるだけのせないように、噛まずに喉奥に流し込む。 野菜はてんとう虫の汁みたいな苦さで、肉と魚はとっても生臭い。 吐きそうになるけど、我慢我慢。 今ここで吐いちゃえば楽になるけど、それから先はずっと苦い生活。 なら、いま苦いのを我慢して楽しい生活を送ったほうがいいじゃない? 今日も怪物少女は日常に溶け込む。 あーあ、お腹すいた。 昼休みのチャイムも早々に、ずっしりしたナップザックをからって階段を駆け上った。 誰も入れない、私の場所。
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