第7章 永野滉一の日誌。(コウイチ編)

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翌日、マンション近くのカフェに崇を呼び出す。 小笠原さんも同席している。 「なんのお小言?」と崇は諦めた顔を見せる。 「崇さん。説明してください。」と小笠原さんが落ち着いた顔を見せる。 「好きな女ができた。結婚したいと思って、プロポーズして、うなづいてもらった。」 と崇は簡潔に言った。 「すぐに結婚出来るとは思わないけど、他のオンナは考えられない。 婚約者として付き合って行く。 親父は俺を結婚させたがっていただろ。なんか問題ある?」 と機嫌の悪い声を出す。 小笠原さんはため息を吐いて、 「フォーエバーの社長の姪っていうのも本当でしたし。 ご両親は亡くなっていますが、社長が後見人って事なら、問題はないでしょう。 そう裕福な家庭では育っていませんが、 女子大を出ていて、 着物の着付けと、華道も高校になってから習っています。 これはフォーエバーの社長の奥様が授業料を出して習わせています。 まあ、奥様の趣味みたいなものですけど、 嫌がらずに続けていますので、腕前は師範並みです。 お着物が上手に着ることが出来たり、 いけばなが出来るって崇さんの婚約者としても、点数が高いです。 男性関係も綺麗なものです。 保護者代わりで、3人もお兄さんがいては お付き合いを続ける男性もたいへんですね。 後は幼馴染がよく家に出入りしていますが、 崇さんとお付き合いをしているのなら問題ないでしょう。」 と言って、さらに言葉を続けようとした小笠原さんに 「ストップ。俺はハルキからそういう事は聞きたい。もう、知りたくない」 と止めたので、小笠原んは 「では、結論を。 反対する理由が見つかりません。 崇さんが本気でお父様を説得すれば、結婚できるでしょう。」と言った。 「なぜ、こんなに早く婚約したんですか?」と小笠原さんは聞く。 「ハルキに俺と真剣に付き合うって、決心して欲しかった。 俺の真剣な気持ちを表したかった。 他の女とは別れたって。」と崇は真面目な顔をした。 「わかりました。協力しましょう。」と小笠原さんが笑って、 「付き合っていた女性にはみんな終わりにしてもらいます。 崇さん、今回が最後ですね。」と確認をする。 「もちろん。」と崇はにっこりした。 やれやれ。
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