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きっとこの恋をしている男というのも樋口自身なのだろう。
本当は早く帰ってひとりになりたいと思っていた。
けれどこうして静かで夜景の綺麗な場所に連れてきてもらえて、気持ちの整理が出来た気がする。
上手く進むかどうかはわからないけれど、私の気持ちは決まった。
それも苦手だった樋口のおかげで。
「よし、リフレッシュ出来たので帰りますよ」
「え、もう? 今から俺が矢野さん口説くところでしょ」
あからさまに冗談だとわかる態度の樋口が驚いたふりをする。
「なに言ってるんですか、明日遅刻しても知りませんよ」
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