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樋口と別れて家に帰ると、予想通り部屋は真っ暗だった。
今紫音に部屋にいられても、素直に話が出来るとは思えなくて、正直ホッとしている。
ソファに転がりたい気持ちを奮い立たせ、そのままバスルームに向かった。
泣くこともなくシャワーを浴び、髪を拭きながらビールを片手に窓の外を眺める。
紫音が来るかもしれないと、待っているときの無意識の行動に気が付いてカーテンを閉めた。
いつの間にかそんな癖がついていたのだと、今更気付いたことにも惨めな気分でなぜだか笑いが込み上げた。
「本当に私ってどこまでもバカだな……」
気持ちの持って行き場がなくて、とりあえず持っていたビールを煽る。
一気に飲み干して新しいビールを冷蔵庫から持ち出した。
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