5084人が本棚に入れています
本棚に追加
/349ページ
リビングに戻り、テレビでもつけようかとリモコンに手を伸ばす。
するとリモコンの横に置かれたスマホが光り出した。
電話の主は紫音。
慌てて手に取ったものの、電話に出る気にはなれなくてそのままテーブルに戻した。
しばらく呼び出し音が鳴り続け、留守電に切り替わる様子を見ていた。
少しの無言の後に小さな紫音の声。
「俺……。また連絡する」
たったそれだけのメッセージを残して電話は切れた。
急いで窓に近づいてカーテンの隙間から外を見ると、背を向けて帰っていく紫音の後ろ姿が小さく見えた。
.
最初のコメントを投稿しよう!