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しかしカップが空だったようで、小さくため息を吐くと立ち上がろうと腰を浮かせた。
「もしかして聞こえてました?」
すかさず河野のカップを取ると、河野に背中を向けてコーヒーメーカーに用意されていたコーヒーを注ぐ。
恥ずかしくて顔が赤くなっているのを隠すためだ。
テンションの高いスタッフに話すと、どうしてもこちらの声まで大きくなってしまう。
事務所のドアが開いていたせいもあるけれど、どうやら事務所にまで筒抜けだったらしい。
いつも冷静にと思っていても、元気のある若いスタッフを前に冷静を保つのも一苦労なのだ。
「はっきりとね。ありがとう」
カップを手渡すと、浮かせていた腰を下ろした。
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