第5章

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しかしカップが空だったようで、小さくため息を吐くと立ち上がろうと腰を浮かせた。 「もしかして聞こえてました?」 すかさず河野のカップを取ると、河野に背中を向けてコーヒーメーカーに用意されていたコーヒーを注ぐ。 恥ずかしくて顔が赤くなっているのを隠すためだ。 テンションの高いスタッフに話すと、どうしてもこちらの声まで大きくなってしまう。 事務所のドアが開いていたせいもあるけれど、どうやら事務所にまで筒抜けだったらしい。 いつも冷静にと思っていても、元気のある若いスタッフを前に冷静を保つのも一苦労なのだ。 「はっきりとね。ありがとう」 カップを手渡すと、浮かせていた腰を下ろした。 .
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