第5章

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「間違ったことは言ってないと思いますけど」 「もちろん。だから褒めたつもりなんだけど、気に入らなかった?」 「だったらちゃんと褒めてくださいよ。笑われると褒められてる気がしません」 「それは失礼」 河野がカップに口をつけて一息つくと、まったく悪いとは思っていないだろう笑顔をまた返してきた。 そんな河野に微笑み返すと、私も棚から今日の予約リストを取り出してデスクについた。 オープンしたばかりの店には、料理長のファンのお客様や予約の取りにくい1号店の代わりに来てくださる見覚えのある名前のほかにも、新しいお客様の名前が並ぶ。 この新しいお客様がまた来ようと思ってくださるように、最上のおもてなしを考えるのも楽しみのひとつ。 .
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