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「間違ったことは言ってないと思いますけど」
「もちろん。だから褒めたつもりなんだけど、気に入らなかった?」
「だったらちゃんと褒めてくださいよ。笑われると褒められてる気がしません」
「それは失礼」
河野がカップに口をつけて一息つくと、まったく悪いとは思っていないだろう笑顔をまた返してきた。
そんな河野に微笑み返すと、私も棚から今日の予約リストを取り出してデスクについた。
オープンしたばかりの店には、料理長のファンのお客様や予約の取りにくい1号店の代わりに来てくださる見覚えのある名前のほかにも、新しいお客様の名前が並ぶ。
この新しいお客様がまた来ようと思ってくださるように、最上のおもてなしを考えるのも楽しみのひとつ。
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