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そうやってリストをチェックしていると、また視界の端にニヤリと笑う河野の顔が見えた。
「今度はなんですか」
顔を上げることなくそう返すと、「別に」と一言返ってきた。
「なにか言いたいことがあるんじゃないんですか?」
「そのリストを見るときの矢野さんの横顔好きだなと思って」
突然好きだと言われて驚いて顔を上げた。
「なに言ってるんですか」
「だってリストには名前と少しの資料しか載ってないのに、もうお客様との勝負が始まってる感じがするんだよね。いい顔するなと思って」
お客様と勝負をしようと思っているわけではないけれど、確かにこの時からお客様へのおもてなしはスタートしている。
さすがこの人はよく見ている。
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