第5章

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夫婦だからと言われると、ぐうの音も出ない。 普通ならどうして元気がないのかと聞くところだけれど、原因を知っているせいで聞くのが怖い。 「お仕事大変なのかもしれませんね」 「そうだといいけど。彼モテるからね……」 そう言って華のように微笑む姿に背筋が凍った。 きっとこの人は知っている。 知った上で全てを容認しているのだと悟った。 それがわかってしまうと、これ以上言葉が出てこない。 そんな恐怖に打ちのめされそうになりながら、花が活け終わるのを見守った。 .
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