第5章

19/26
前へ
/349ページ
次へ
安心してエレベーターに乗り込み、12階のボタンを押す。 静かに上昇するエレベーターは途中で止まることもなく12階で止まった。 エレベーターを降りて角を曲がると玄関の前に人影が。 「藍子」 そう呼ぶのは誰でもない紫音だった。 通りで部屋の明かりが点いていないわけだ。 いないと思って安心していたけれど、部屋に入らずに玄関の前で待っていたとは恐れ入った。 今の私たちの間柄で、部屋に勝手に入らないだけの常識は持ち合わせていたのだろう。 私にとっては逆効果だったけれど。 .
/349ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5105人が本棚に入れています
本棚に追加