第6章

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夜中に目が覚めると、すぐそばから気持ちよさそうに眠る紫音の寝息が聞こえた。 つい手を伸ばしかけて、触れる手前で思いとどまった。 ここに紫音が寝ているということは、昨夜の出来事が夢ではなかったということ。 激しい自己嫌悪に襲われる。 やっぱりどうかしていた。 こんなことはいけないと思っていながら、あのときは今夜だけだと自分に都合のいい言い訳をした。 起き上がってベッドから見える窓には、雲に隠れていた月がほんの少しだけ姿を見せようとしている。 気持ちを誤魔化した自分を見ているような気がした。 「最低だわ」 .
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