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「大丈夫よ。もう出るから」
そう言っても紫音が洗面所から出ていく様子はない。
きっといつもならすぐに顔を見せる私が、ドアを開けないからだ。
「まだ朝までには時間があるでしょ。寝てればいいのに」
「具合が悪いんじゃないのか?」
頑なにドアを開けない私にしびれを切らした紫音がドアに手を掛けた。
「大丈夫だから。すぐに出るから。だから開けないで」
シャワーを止めると紫音は小さな声で分かったと呟いて出ていった。
顔を見るから迷う。
声を聞けば尚更迷う。
愛しているからこそ、このままふたりではいられない。
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