第6章

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行く当てもなく、始発の電車に乗り込む。 始発とあって乗客は少ない。 これから家に帰る人とこれから仕事に行く人が、眠そうに揺られている。 入口のすぐそばに立ったままスマホを取り出した。 紫音の連絡先をすべて消すため。 電話番号もメールアドレスも、メッセージアプリの登録も消した。 今までの通話や通信の記録も消した。 もう私から連絡する手段はない。 あっけなく紫音の情報が消えてしまったスマホを、少しの間眺めてからカバンにしまった。 .
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