第6章

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そして無意識に降りたのは以前働いていた1号店の最寄り駅だった。 駅の外は静かで、コーヒーを飲もうかとカフェに向かいかけて、すぐ近くに大きな公園があったことを思いだした。 1号店に通っていた時は、忙しさのあまり1度も足を踏み入れることはなかった。 明るくなり始めた公園は、散歩をする人やジョギングする人が沢山いる。 鳥のさえずりも聞こえ、都会の中にあるとは思えない自然豊かな場所だった。 「もっと早く来ればよかった」 あまりの気持ちよさに両手を広げて大きく伸びをすると、散歩をする人を真似てゆっくりと歩き出した。 木漏れ日の遊歩道を歩き、すれ違う人と挨拶をする。 こんなに穏やかな世界もあるのかとため息を吐いた。 .
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