第1章

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俯き加減に端に立つと、迷惑なことに自己紹介までさせられるらしい。 マイクを順番に回して、ひとりずつ自己紹介を始めた。 逃げ出したい気持ちで朋子を見ると、頑張れとガッツポーズで応援されてしまった。 こうなったら開き直るしかない。 マイクを手に深呼吸をして顔を上げた。 「矢野藍子です。新婦とは高校からの友人で、多分独身は最後のひとりだと思うので、今日は幸せを分けてもらおうと思っています」 心にもないセリフを吐き、最後に笑いまで誘って、期待通りピエロを演じた。 これで満足だろう。 新婦の持ったブーケとリボン。 ひとりずつリボンの端を持つ。 .
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