5106人が本棚に入れています
本棚に追加
そう言って紫音は私を引き寄せる。
その甘い誘惑に負けたい気持ちを堪えて腕を解いた。
「今日は友達の結婚式なの。遅れるわけに行かないでしょ」
ベッドから降りてバスルームに向かう。
私は先月35歳になった。
今日結婚する友達が最後のひとりで、他は全て結婚し母となっている。
友達に会うたびに結婚しないのかと聞かれることが増えた。
しかしまだそんな予定は入りそうにない。
紫音とは3年近く付き合っているけれど、お互い仕事が忙しくてそんな話にもなかなかならない。
長すぎる春は成就しないと聞く。
.
最初のコメントを投稿しよう!