第12章

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その兄の恋人がAYAKO先生だったこと。 亡くなった兄にAYAKO先生を託されたこと。 聞いたこともなかった真実に言葉を失っていた。 「託されたからといって、即結婚って考えたのは、俺も若かったんだって今ならわかるよ。あのときは藍子と出会うなんて予想もしてなかったから」 結局誰も幸せに出来なかった……。 そう呟いた紫音の弱い部分を初めて見た気がした。 「そんなことがあったなんて知らなかった」 そのあとも赤裸々に語る紫音を見つめながら、時折樋口の顔が思い浮かぶ。 強い決心を胸に紫音と会っているはずなのに、決心が鈍りそうになる。 AYAKO先生から受けた仕打ちはとても辛かったけれど、きっと彼女は恋人の弟である紫音を愛し始めていたからなんだと思った。 .
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