第12章

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きっと私が同じ立場でも、いつか解放しようと思っていたとしても、手放せなくなったかもしれない。 それでも紫音を思って手放したAYAKO先生の気持ちも無視出来なくなってしまった。 「彩子には指1本触れてない。それは兄に誓える」 それも酷な話だと、もしここにAYAKO先生がいたら言うだろう。 女心がわからないのも無理はないけれど、なぜかAYAKO先生に同情してしまう。 私のカクテルグラスの氷が全て溶けた頃、話を聞き終え大きなため息がこぼれた。 「やっぱり聞かなければよかった」 後悔してももう遅いけれど、心底そう思う。 「俺たちは不倫じゃなかったんだ。堂々といられる」 「それでも、はいそうですかとは言えないのよ」 .
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