第12章

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きっと今頃、ひとりの家で不安な気持ちを抱えているだろう。 そんな樋口に会いたくなった。 絶句している紫音の目をまっすぐに見つめる。 「帰るわ。彼に会いたくなったの」 引き留めようとする紫音に微笑んで席を立った。 今からまっすぐ樋口の元に向かうつもりだ。 タクシーに乗って樋口の住所を告げる。 見慣れた景色に変わると急に胸がドキドキし始めた。 こんなに緊張するのはいつぶりだろう。 マンションの前でタクシーを降り、エレベーターに乗り込んだ。 .
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