第12章

26/26
前へ
/349ページ
次へ
「やっぱり私にはあなたが必要だってわかったの」 樋口の顔はもう見えないけれど、ホッとしたように息を吐いたのがわかった。 「当然だろ。元カレがなんと言おうと渡すつもりなかったよ」 「うん」 強く抱きしめられて、私の選択は間違っていないと確信できた。 紫音のことは愛していた。 でも、今私が愛しているのは樋口だ。 きっとこれから先もずっと。 それを気づかせてくれたのが紫音だというのも皮肉だけれど。 もう迷うことはない。 .
/349ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5106人が本棚に入れています
本棚に追加