第1章

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「まだ来てないじゃない。そんなことよりいっそ藍子からプロポーズしたっていいんだから、今日帰ったら言っちゃいなさいよ」 やんわり話を逸らそうとしても、どうしても彼女たちは私を結婚させたいらしい。 彼女たちの中では結婚こそが女の幸せで、育児をしている自分たちこそが正義なのだ。 「今日は遅くなるって言ってたから」 「ほらそうやってすぐはぐらかす。おばあちゃんになってもひとりなんて寂しすぎるわよ」 いい加減大きなお世話だと言いそうになったところで会場がざわついた。 ようやく新郎新婦がお色直しを終えたらしい。 心の中で遅いと悪態をついた。 「ほら、来たよ」 せっかくの友達の幸せなときを祝福しに来たのに。 .
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