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村役場で働く木村さん(仮名)の話だと、夏に熱帯夜が続くと、山間では山蛭の被害が続出するんだそうです。畑や田んぼだけでなく、家の中でも安心できません。風呂場でも天井からポトリ! スリッパを履き忘れると廊下で足の裏に糸こんにゃくを踏んだような感触が伝わるといいます。
「ナメクジと違って、赤くなるんだよ」
乱開発で森林の鹿や猪が餌を探しに人里までやって来て、蛭を撒き散らすんです。
ある晩、背中がムズ痒いので、隣で寝ている奥さんを起こしてパジャマをめくってみると、大きな黒い蛭が三匹も付いていました。
ちょうど平仮名の《しくつ》と読めたといいます。
これが血を吸って風船みたいに膨らんでいくので、奥さんが蚊取り線香で炙って剥がそうとしたら、もう背中にいません。
部屋中を探して座布団をめくってみると、目鼻がない小人がいたらしい。
大きさは約十センチ程度。
「ウエットスーツみたいにツルツルでね、まるでアニメだ、踏んでやろうと思ったけど気味悪いから、やめといたよ」
彼らが走り去ったあとは、赤い小さな足跡が庭まで残ったといいます。
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