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第三話 サボタージュ
文学部キャンパスのカフェテリア、リングワークス。
高田馬場で長年展開している、飲食業界のランドスケープグループの経営する
某緑の人魚の珈琲店の様な、お洒落カフェテリアで20席程あり、雄飛と前山田の席
の回り以外は埋まっており、あきらかに避けられている雰囲気があった。
四人掛けのラウンドテーブルに対面に座る2人。
店内には小気味なジャズがかかるが、2人が沈黙をしており硬直状態であり
微妙な空気感が漂う。
薄手の黒いスプリングコートに帽子を被った、がちゃっ歯の男は面白そうに
雄飛を観察しているみたいだった。
雄飛は、濡れて濃い茶色に変色している元麻色のリュックと中に入っていた
ノートパソコンの電源を入れようと、ハンカチで焦りながら拭いている。
テーブルには教科書やらノートも置いてある。
「なんで・・・・・こんな・・・・まだローンも残っているのに・・・・・」
「鳩マスター・・・の君・・・・・パソコンは起動しない方が・・・・良いん
じゃないか??」
「拭いて乾かせば・・・・・大丈夫です・・・・かまわないでください!!」
雄飛は前山田に苛つきながら、冷静さを失い、ついパソコンの電源を押す。
一瞬、パソコンの内部が赤く光り、ボン!という音と共に煙が立ちこめた。
悲痛な姿の雄飛を見ながら、笑いが堪えられない感じの前山田
「ほら・・・・言わんこっちゃ無い・・・鳩マスターの君・・・いや・・・・
パソコンクラッシャーの君かな??」
「ぁ・・・・・・ぁ”・・・・・・・」
言葉にならない声を上げる雄飛を見かねた前山田
「仕方ないなぁ・・・・」
スマホを取り出すと、誰かに連絡をし始めた。
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