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始業のチャイムが鳴り、二人して立ち上がった。
「見れませんよ、手相なんて。生命線がーとかって言うならまだしも、柳の葉の手相なんてあると思います?」
「…………」
(そう言われれば確かに。そんな手相聞いたことねぇな)
藤枝がふっと笑った。
「小山内さんって……」
見慣れないすっきりした頬から首に掛けてのライン。細く長い首に目が奪われる。
「たまに子供っぽいですよね。そこが……ですけど」
藤枝は笑顔のまま、正面に向き直った。俺はちっと舌打ちをする。
(おっさんを馬鹿にしてるな)
藤枝はくすくすと肩を震わせていた。
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