一夜目

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「終わった、のか?」 家人らが避難していた部屋に吉臣と成親が顔を出すと、為末が青い顔で問いかけた。 成親はそれを安心させるように、笑いながら頷く。 「ええ。吉臣のおかげです」 「いえいえ。兄上の策のおかげです」 謙遜し合う二人に、為末はほっとした顔で笑い、家人たちもまた、安堵の表情を浮かべた。 そして為末は、身分が下の二人にも、丁寧に頭を下げる。 「成親殿、吉臣殿、ありがとうございました」 「いえいえ。頭を上げてください」 笑いながら、成親は手を振る。 こういうところが、為末が成親の友人である由縁だ。 「そうだ、何か礼をしなければ…」 「頼み事を受けただけですから、いいですよ。ただ、一緒に酒でもどうです。持ってこさせますよ」 にやりと笑った成親に、為末は楽しそうに笑って頷いた。 「だったら、こちらで用意しよう」 「それはありがたい。吉臣も飲むだろう」 成親の言葉に、吉臣は微笑んで頭を下げた。
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