三夜目

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鬼が陰陽寮に頼み事をするなど、聞いた事が無い。というよりも、ありえない。 顔を出した瞬間に、退治されるか、追い払われてしまうだろう。 それを考えれば、女性の行動は当たり前の選択だった。 「貴女の頼みとは、何でございましょうか」 「…探していただきたいものがあるのです」 「探し物、ですか」 「はい。なれど、その前にわたくしの事を、吉臣様に話さなければなりませんね」 「話したくないのであれば、無理には聞きませんよ」 「いいえ…。つまらぬ話ですが、聞いていただけますか」 吉臣がその言葉に頷くと、女性は目礼し、話を始めた。
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