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「わたくしの祖母は、先々代の帝の女御でした。その娘である母は、第一皇女になります。降嫁して父と結婚し、私を産みました。その後間もなく、亡くなったそうですが」
「そうでしたか…」
吉臣が頷くと、女性も頷く。
「それは丁度、今上帝が即位した頃だそうです」
そこで吉臣は、不意に微笑んだ。
女性が、不思議そうに首を傾げる。
「申し訳ありません。貴女は、私と同じ頃に産まれたのだなと、そう思っただけですから。続けて下さい」
吉臣の言葉に女性は微かに笑んでから、言葉を続ける。
「母が亡くなり、叔父だった院も出家し、わたくしの生まれた家も落ちぶれていく一方」
後ろ楯を無くして、貧しい暮らしをしていた。
「父と数人の家人と、ひっそりと、それでも幸せに暮らしておりました」
そこに、とある男が通ってくるようになったと言う。
「とても、お優しい方でした」
女性が悲しげにそう言うと、吉臣は昨夜言われた事を思い出したが、顔色を変えずに頷く。
これからが本題だろう、と。
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