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先程の痩せた少女もまた、よろよろと立ち上がると扉に歩み寄る
と
他の場所では、処分待ちの失敗作だろうか、腕も翼もない天使が雷で破壊された建物から這い出し、這うようにして扉を潜った。
また別の場所では虐待された子供を、同じく虐待されたであろう傷だらけの天使が支えてともに扉に消えていく。
街角では、十字架を握りしめた初老の男が
なにかしら神を称える言葉を呟きながら門に深々と頭を垂れていた
通りかかった赤い瞳の女は
「ええ、あの方の美しさには…心奪われるも当然」
といって笑ったが
彼を急かすでもなくするりと追い越して眼前の門へと消えた。
「はっ、偽善」
その様子を見ながら頬杖をついていたリリアは、吐き捨てるようにそういった
「今回はね、こうなるさ。ユフィールや籠目みたいにアグレッシブな悪人は迎えに来なくたって普段から勝手に来る。
これないのは、本当に弱い者たちがだよ」
言動こそ慈悲めいているが、下卑た笑みを張り付けたロスト・ホープの横顔に
相変わらずの口ぶりの少女は、ふぅとため息をついてから思い付いたように口を開いた
「ホープ、これから私がいく先で…そうだな、15分したら扉を出してくれよ。アニスを迎えにいく」
「おや、一緒に行動してたんじゃないの?」
「結局はぐれたんだよ」
はぁーっっとため息を重ねて、リリアは武器を肩に乗せる
「了解だよリリア。ただ他の扉は五分後には閉じるからね。気を付けなよ」
「おぅ、まぁどうやら、クライベリアルの誰かとは一緒にはいるらしいから心配してねぇけどな」
少女は
ニシシッっと擬音がつきそうな笑みを浮かべると
「あーとーでーなー」
と手を振りながら歩き出した。
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