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「ねえ、どうして小夜はあんなことをしたと思う?」
駅へと向かう道中、早苗は独り言のようにポツリと呟いた。
「友達の危機だったからだろ?」
「……ほんとにそう思ってる?」
「どういう意味だい」
「おつむの良いあんたなら、もう分ってんでしょ? あの子がそんなタマじゃないってことは」
早苗は自身のこめかみを人差し指で軽く小突くと、途端に顔を曇らせ憂いだ表情を如月に向けた。
「それにあの優香って子ねえ……小夜は彼女のことなんて友達とは思ってなかったよ」
「じゃあ、どうしてあんな行動に?」
「如月のせいだよ……あんたが小夜を変えた」
早苗はそういって自嘲した笑みを浮かべた。
「自分でいうのもなんだけど、あの子が本当に心を許しているのは、幼い頃から私だけだった。でもあんたが現れてあっさりと私の立場は奪われちゃった」
如月は黙って彼女の言葉に耳を傾けた。
「勘違いしないでね。べつに妬んでる訳じゃないから。それと一応断っとくけど私はレズでもないからね」
「分ってるよ」
「結局何がいいたいかっていうと……あんたになら小夜を任せられる、そういうことよ」
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