第十七章「迷惑な死にたがり」

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「買い被りですよ。僕はそこまでお人好しじゃありません」 「頭の回転が速く、しかも恐れ知らず。でもそういう奴はね、大抵早死にするわよ」 「へえ、そうなんですか。因みにその統計のソースはどこから?」 「確かにあの瞬間はキミのとった行動が、最善だったかもしれない。でもね今回は偶然、上手くいっただけよ」  如月の軽口をサラリといなすと、長倉は静かに彼を見据えた。すると如月は吐息を漏らしながら苦笑いを浮かべた。 「ええ、でしょうね」 「刑事としてはね、誰かさんみたいな()にたがり(・・・・・)は迷惑なのよ」 「ええ、全く同感です」 「だったら大事にしなさい。知ってるとは思うけど命は一個しかないんだから」 「これだから警察は嫌いなんです。特にお節介な女性刑事はね」  如月の言葉に長倉は苦笑いを浮かべた。そして次の瞬間、姿勢を正すと凛とした表情を彼に向けた。
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