770人が本棚に入れています
本棚に追加
/535ページ
「買い被りですよ。僕はそこまでお人好しじゃありません」
「頭の回転が速く、しかも恐れ知らず。でもそういう奴はね、大抵早死にするわよ」
「へえ、そうなんですか。因みにその統計のソースはどこから?」
「確かにあの瞬間はキミのとった行動が、最善だったかもしれない。でもね今回は偶然、上手くいっただけよ」
如月の軽口をサラリといなすと、長倉は静かに彼を見据えた。すると如月は吐息を漏らしながら苦笑いを浮かべた。
「ええ、でしょうね」
「刑事としてはね、誰かさんみたいな死にたがりは迷惑なのよ」
「ええ、全く同感です」
「だったら大事にしなさい。知ってるとは思うけど命は一個しかないんだから」
「これだから警察は嫌いなんです。特にお節介な女性刑事はね」
如月の言葉に長倉は苦笑いを浮かべた。そして次の瞬間、姿勢を正すと凛とした表情を彼に向けた。
最初のコメントを投稿しよう!