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警視庁を出ると、如月の予想通り早苗たちの姿があった。彼女は小夜の不在に気付くと、当然のごとくその理由を彼に尋ねた。
「ショックを受けている友人に、付き添ってあげたいそうだよ」
如月は簡潔に伝えると早苗は一瞬、訝しげな表情を浮かべた。だがそのあとすぐに「そっか……」と、いって納得した。
「警察の連中には何ていわれた?」
清水は気遣うように小声で尋ねた。
すると如月は苦笑いを浮かべながら「まあ、要約すると ”素人のガキが余計なことはするな” と、いった感じだったね」と、答えた。
「随分と手厳しいな」
「まあ、その程度の謗りを受けるのは覚悟のうえだよ。それに警察の連中がイラつくのも無理はないさ」
僕はどうしてあんな行動に出た? 彼女のことなんか、ほっとけばよかったじゃないか……。先程からの疑問が、如月の頭の中でグルグルと駆けめぐってゆく。クソッ……。彼が静かに奥歯を噛みしめた丁度その時、清水が微笑みながら口を開いた。
「お前らしいよ」
「僕らしい?」
「ああ、お前らしい」
僕らしいって一体なんだ? 如月が自問自答をしていると、清水はゆっくりと早苗に視線を移した。
「この後はどうする、ここで三島を待つか?」
「ううん。私らがここにいても意味ないし……」
「まあ、そうだな……じゃあ、帰るか」
清水はそういって如月の背中を軽く張ると、彼等はゆっくりと桜田門駅の方へと歩みを進めた。
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