第十八章「それぞれの想い」

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「だからって、どうして酒なんて飲んじゃうかなあ……」 「だって現実逃避にはお酒が一番なんでしょ?」 「あんたは新橋のサラリーマンかい?」  早苗は苦笑いを浮かべると清水に視線を移した。 「この子、酔っぱらって少しふらついてるから、タクシーで帰った方がいいかも」 「ああ、そうだな」  清水は軽く頷くと、小柄な妹を優しく背負った。そして如月にいつもの柔和な顔を向けると、こう続けた。 「警察の奴らがなんていったか知んねえけどさ、誰がなんといおうとお前はあの2人の命を救ったんだ。誇っていいと思うぜ、俺は」  妹思いのボーズ頭はそういい残し、ゆっくりとタクシー乗り場へと向かっていった。 「なに格好つけてんだか……似合わねえっつうの」  早苗は妹を背負う清水の背中を見つめながら、微笑みを浮かべた。そして如月に視線を移すと「じゃあ、うちらも行きますか」と、いって桜田門駅へと歩みを進めた。
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