第十八章「それぞれの想い」

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「僕に任されても困るんだけどね……因みにどうしてそう思ったんだい?」 「小夜が人だかりを押しのけて、優香って子のところに向かったあの時、あんたは誰よりも早くあの子のもとに駆けつけた。体力のある陸上部員の私ら3人を、あっさりと差し置いてね」 「たまたまだよ」 「そしてその出来の良いおつむをフル回転させてあの子を守った……格好良かったわよ。相手が小夜じゃなかったら惚れてたかも、って思うくらいにね」 「随分と褒めるね」ふっと吐息を漏らすと、如月は苦笑いを浮かべた。そして「彼女には少なからず借りがあるからね……ただそれだけだよ」と、続けた。 「借りって、あのビー玉のこと?」 「それもあるし、あと昼食の弁当とかもね」  如月は小さく笑みを漏らすと、早苗は呆れ顔を彼に向けた。
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