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「それなら、たまには ”美味しかったよ” とか、 ”いつもありがとう” くらいいってあげなさいよ」
「あのてのタイプは、甘やかすとろくなことにならないからね」
「如月は釣った魚にはエサをやらないタイプだ」
「釣ったんじゃなくて、勝手に魚籠の中に入ってきたんだよ」
「はははっ、確かにそうだね」
自嘲した表情を浮かべる如月を見て、早苗は屈託なく笑った。その後、二人は他愛もない会話を交わしながら、ゆっくりと駅へと歩みを進めた。
そんな中、如月はふと空に視線を移した。すると先程まで晴天だった空はいつの間にか、綺麗な夕焼けに覆われていた。
どうして自分があんな行動に出たのか? いくら考えてもその答えは出せなかった。恐らく今の僕には正解をみつけることは出来ないのだろう……。如月はその綺麗な夕焼け空を眺めながら、心の中のもどかしい想いにそっとふたをした。
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