第二十章「ひじきの思い出」

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「さっきはありがとう」 「いいって、いいって」  小夜は下駄箱で靴を履き替えながら、片手をひらつかせた。そして詩織の手を取ると、昇降口のまえで佇む如月に顔を向けた。 「彼女もいい?」  小夜の問いかけに、彼は相変わらずの無表情で頷いた。 「ねえ、二人っきりじゃなくていいわけ?」  早苗は口元を手で覆いながら、小夜に耳打ちをした。 「まあ、行きがかり上、仕方ないっしょ」 「じゃあ、私も部活休みだし一緒にいこうかな」 「うん。おいで、おいで」
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