第二章「陰鬱な空と厄介なクラスメイト」

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 ほんと、面の皮の厚いことで……。  如月は入学して以来、悪癖である人間観察をクラスの連中にも行っていた。当然ながら目の前の三島小夜にもだ。そして彼女に感じた第一印象は ”鉄仮面女” だった。    誰にでも優しく、世話好きな性格。成績は優秀で容姿も優れてる。だが彼女の行動にはどこか血が通っておらず、それゆえに嘘くさく映った。  例えるなら役を演じている女優のようだ、と如月は感じた。だから土曜日にあんなかたちで小夜と出会った時も、別段驚くことはなかった。 「それで、この嫌がらせはいつまで続くの?」 「だから嫌がらせっていうのやめてよっ! さっきもいったけど、こんな私でも多少はヘコむのよ」 「なら、こうやって二人向かい合って昼食を摂るのは、いつまで続ける気?」 「そうね……取りあえず私が飽きるまで毎日かな」  また厄介ごとが一つ増えた……。  如月は機嫌よさ気に弁当を頬張る小夜に、溜め息を漏らしながら顔を向けた。すると彼女の色素の薄い瞳と目が合った。    にっこりと微笑みを浮かべる厄介なクラスメイト……ほんと、とんでもないのに目を付けられたもんだ。  でもまあ、いいか。どうせすぐ飽きるだろうから。如月はそう思いつつ静かに昼食を再開した。だがこの楽観的予測は、のちに大幅にハズレることになる。
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