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気持ちの良い風がサワサワと木の葉を揺らし、爽やかな気分にさせてくれる昼下がり、もう夏もほとんど終わりかけており、過ごしやすくなっている。
だというのに、私の隣に座っている先生はずっと本を読んでいて外に出ようともしない。
私の師である新目優さんは無類の本好きで、全くと言っていいほどに外へ出ない。
…そういえば本が少し増えたのではないだろうか。
「先生。」
呼びかけても反応はない。本の世界に入り込んでいるのだろう。
もうこうなってしまっては私がどうにかできるものではない。
はあ、とため息をついて部屋を見渡す。
見渡した所で今日、事務所にいるのは私と先生の二人なのだが。
なんでも、りょう君と紅葉さんの二人での仕事なのだそうだ。
正直、今先生と二人きりなのは少々気まずい。
私は先日に自分がした行動を思い出して頬を赤らめる。
いろいろあったからと言って、あんな…先生の方へ倒れ込んでしまうだなんて。
仮にも私は男性恐怖症なのに。
…それだけ先生には慣れてきたということなのだろうか。
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